はじめに、似ているようで意味が異なる「生産性」と「効率性」の違いについて解説します。
「生産性」と「効率性」の違いから、生産効率を向上させるメリットを解説!
「競争に打ち勝ち、より大きい会社へと成長させていくにはどうすれば良いか」は、会社としての永遠の課題だといえます。そして、そのためのアプローチとしてよく叫ばれているのが「生産効率の向上」です。しかし、そもそも「生産効率」とはどういう意味なのでしょうか。ここで注目すべきポイントは、「生産効率」という言葉には、「生産性」と「効率性」という二つの言葉が入っているということです。今回は、この両者の違いと、生産効率を向上させることで得られるメリットについてご紹介しましょう。
「生産性」と「効率性」の違い
「生産性」とは?
まず「生産性」ですが、生産性とは使える資源から、どれだけ新しい価値を生み出せるかという意味です。つまり価値を生み出す効率とも定義できます。ここでいう「価値」は、「利益」に限らないというところがポイント。利益は会社にとっての価値に当たり、それ以外にも賃金アップや余暇の増加など、労働者にとっての価値があります。そのため、機械化・IT化などにより、少ないコストで生産できるようになったり、利益を上げたりすることのほか、労働者の余暇を増やすことも生産性向上といえます。
「効率性」とは?
一方、効率性は一つの作業にかかる労力・時間・資源などを、どれだけ少なくできるかという意味です。例えば、一つの製品を作るのに1時間かかっていたものを、30分で作れるようになれば効率性がアップしているといえます。また、2人がかりだったところが1人でも作れるようになれば、こちらも効率性が上がったといえるでしょう。
「生産性」と「効率性」の関係
効率性が上がれば同時に生産性が上がることも多いため、一般的に生産性と効率性は大きく関係しています。しかし、必ずしも比例するわけではありません。効率性が上がっても、生産性が上がらないということもあり得ます。
効率性はあくまで効率の話だけ
例えば、効率性には品質は考慮されていません。そうすると、一つの製品を作る時間が半分になっても、「粗悪品ばかりで売れない」ということも起こり得ます。この場合効率性は上がりましたが、利益は上がっておらず、労働者にも還元できないため生産性は向上していません。
効率性も生産性をアップさせるには?
業務の効率化だけを図っても、それが労働者にとって負担になり、離職者が増えれば結局生産性は上がらないという事態になるでしょう。したがって生産性を上げるには、効率性だけを考えるのではなく、「品質は落ちないか」「労働者の負担は増えないか」など、他の要素も考慮する必要があります。効率性をアップさせたうえで生産性もアップさせる、それが生産効率の向上というわけです。
生産効率を向上させることで得られるメリット
それでは、生産効率を向上させることでどのようなメリットが得られるのかを解説しましょう。考えられるメリットとしては以下が挙げられます。
利益が増える
生産効率が向上するということは、より少ない投資で儲けが増えるということです。会社としては当然、利益が増えます。利益が増えれば会社として安定するので、従業員も安心です。また、増えた利益で新たに従業員を雇い、新しく事業所を増やすといった投資をすることもできます。着々と投資をしていけば会社は大きくなり、より一層利益を増やすことができるでしょう。会社が大きくなれば雇用が増え、収める税金も増えるため、地域に対する貢献度も高まります。
労働環境の改善や従業員の給与アップ
利益の使い道を変えれば、得られるメリットも変わります。例えば、仕事場の設備の充実です。お得に利用できる社員食堂を設置したり、ゆっくり休憩できるリラクゼーションスペースをつくったりすれば、労働環境が良くなります。そうすれば、従業員がより働きやすい環境になるでしょう。また、給与や賞与として還元するのもひとつの選択肢です。収入が増えれば、従業員はより豊かな生活を送れるようになります。
競争力がアップ
生産効率のアップは、企業としての競争力のアップになります。厳しい競争社会を勝ち抜き、生き残っていくためには、この競争力が不可欠です。また、競争は国内だけに留まりません。海外の企業とも勝負できるくらいまで国際競争力が上がれば、日本産のモノやサービスが海外で売れるようになります。そうすれば、日本社会全体への貢献にもつながるでしょう。
生産効率の向上を目指そう
解説したように、生産効率を向上させるためには、さまざまな要素とのバランスを考える必要があるため、そう簡単ではありません。しかし、もし向上させることができれば、大きなメリットを得ることができます。競争社会を生き残るためにも、より会社を大きくしていくためにも、「生産効率の向上」を目指すべきでしょう。