紫外線の照射により、材料が瞬時に“乾く”というUV硬化型インキが印刷市場に紹介され、半世紀以上が経過した。この間、UV硬化材料は、印刷分野のみにとどまらず、多方面への応用展開が図られ、UV照射により単に“乾く”という現象を目指した当初の材料から、新たな付加価値を生み出す機能材料へと変貌してきた。UV硬化材料を用いた製造プロセスは、今日ではフラットパネル・ディスプレイ(FPD)等に使用される光学機能材料製造プロセスにとっては不可欠なプロセスとなっている。また、近年は、液晶や有機EL(OLED)のパネルアッセンブリー・プロセスにおいても、Liquid Optical Clear Adhesive(LOCA)によるパネルボンディングが採用されることにより、UV硬化技術の応用分野は、かつての中間コンバーティングの分野から、より最終製品に近い“川下の分野”にも広がってきている。
このように応用分野を広げてきているUV硬化技術ではあるが、誕生して60年以上も経過する技術であると往々にして成熟技術であると見られがちな場合が多い。しかしながら、実際のUVプロセス技術に携わる立場からこの技術に接すると、常に解決しなければならない課題が存在することに気づかされる。弊社は、UV照射装置の光源メーカーであるが、光源は単なる道具にすぎず、道具だけで“ものづくり”ができるわけではなく、光源ならびに材料とそれにあった最適なプロセス条件を確立することによって、はじめて目的とするものを得ることができると考える。
弊社では、この度UV硬化プロセスに関する課題をこの技術に携われるお客様からお伺いする機会を得たが、その内容を分類すると、図1のようになる。この中には、ランプ本体のハードウエアに関するものもあるが、UV硬化プロセスにかかわる課題も少なくない。そこで本稿では、これらのお客様からのお問い合わせを頂戴いたしました課題に対して、UVプロセス技術の立場から、最適なUVプロセス条件を構築するために提案できる対応策を述べる。