1. はじめに
炭素繊維強化プラスチックは航空機に採用され、自動車市場までに拡大してきている。現在は熱硬化性CFRP (CFRTS)が主流であるが、熱可塑性CFRP (CFRTP) も多分野への応用が注目されてきた。両者の成形プロセスは異なるが、どちらも加熱プロセスがあり、品質・生産速度を決める大切な鍵となっている。エクセリタスノーブルライトではCFRPプレプレグ加熱プロセスに赤外線システムを提供しており、欧州を中心に多くの実績を持つ。幾つかの赤外線システムの応用を紹介したい。
2. 輻射加熱の原理と特長
まず、輻射加熱の原理を簡単に説明する。赤外線は電磁波の一種で、ある波長を持った光エネルギーである。図のように光源から輻射された赤外線光は目的物に照射され、その物質の中でエネルギーが共振吸収される。吸収されたエネルギーは分子(または原子)を振動させ、振動させられた分子間で摩擦熱が発生する。これが赤外線加熱原理である。
光が照射されれば対象物は加熱されるので、前面に透過性の高い耐熱ガラスを配置して、ガラス越しで加熱することも可能である。また、空気により遮断される事が無いので風との共有が可能となってくる。あるいは真空中での加熱にも利用できる。
3. 赤外線ヒーターの種類
工業用に用いられる電気式赤外線ヒーターは、波長範囲で0.8~5μm、温度範囲で400~2,500℃である。日本では古くから遠赤外線と近赤外線という2つの表現が一般的だが、エクセリタスノーブルライトでは自社商品群に合わせてさらに細かく分類している。表1を参考されたい。なお、赤外線の分類方法は業界で統一されておらず、各社が独自の表現をとっていることが多いので注意が必要である。